五感をフルに
使いながら、
興味の赴くままに
過ごす1日

美容師
薫森正義さん

arflexが提案する「Weekend」とは、
毎日を週末のような開放感と幸福感で満たす、
心地よい住まいの在り方。
心がすっと軽やかになり、
自由な時間を謳歌できるWeekend。
充実した日々を送る人は、
オフの過ごし方にこそ“その人らしさ”が
詰まっているのではないだろうか。

大切な家族や仲間たちとの団らんを楽しんだり、
どこか遠くを旅したり、あるいは自分が
夢中になっている趣味に没頭したり。
この企画では、思い思いに心豊かなWeekendを
過ごす方々の、ある1日を覗いてみる。

表参道の〈Hair salon Rougy〉で活躍する
美容師の薫森正義さんは、
絶えず感覚をアップデートしながら、
その人らしく美しいスタイルを
提案し続けている。
その仕事ぶりが多くの人から支持を
集める背景には、絶えず新鮮さを求め、
美しいものに触れる休日があった。

たまの休みは、
疲れた時ほど遠くへ。

薫森さんは連日ヘアサロンに立ち、多くの人々と誠実に向き合う。忙しなくも充実した日々の中でたまに訪れるのが休みの日。疲れた体をしっかり休めるのかと思いきや、その過ごし方はアクティブだ。

「僕は基本的に、日中は外へ出かけたい派です。疲れている日こそ、行ったことない場所を訪れたり、知らないものを目にしたりすることがリフレッシュになるんです。肉体的な疲れは、睡眠をしっかりとって食事をすればとれるけれど、頭や心の疲れって、案外長引いたりするものですよね。新鮮な体験をしていかに心を切り替えるかが、僕にとっての休日のテーマなんです」

その言葉の通り、半日でも時間が空いたら外出し、公園や美術館、インテリアショップなどに足を運ぶ薫森さん。1日予定が空くと、飛行機や新幹線を使って、日帰り旅へと赴くこともある。

「1日ポッカリ時間が空いたら、できるだけ遠出をしていますね。先日も札幌まで日帰りで行ったほど(笑)。それらはもっぱら1人行動です。好きな時に行って帰りたい時に帰る。自分の過ごしたいように時間を過ごし、とにかく無理をしないのも大切にしていることです」

この日もまた、自分の興味の赴くままに過ごす薫森さんの1日が始まった。

6:00

部屋をすっきりと整え、
心を整える。

行動派な薫森さんは、休みの日であっても6時頃に起床。街が動き始める前に、机や棚、床、部屋を隅から隅まで綺麗に整えたり、植物に水をあげたりと、家を整えることがルーティンになっている。その際、点在するアートを拭き掃除したり、飾るオブジェを入れ替えたり。ちょっとした模様替えも頻繁に行う。

「家を整えることは一番手っ取り早いリフレッシュ手段です。僕はもともと飽きっぽい性格で(笑)、常にどこかに新鮮さを感じたくなってしまうんです。だから定期的にものの配置を変えています。ダイニングテーブルやソファのような大きな家具も、思い立って配置を変えることもある。頭を空っぽにして作業に没頭できるのも嬉しいポイントです」

薫森さんが暮らすのは、都内のマンション。シンプルで削ぎ落とされたクールなデザインの家具と、経年変化が楽しめる無垢のシダー材を使ったリーヴァのスツール「クレッシードラ」、張り地はファブリックを選んだアルフレックスのソファ「ブール」などの柔和な印象の家具が、植物やアートと共にバランス良く取り入れられている。洗練さと温もりを兼ね備えた、薫森さんの人柄をまさに投影した部屋だ。

「1つの素材に絞ることなく、木や石、布、革などを用いたいろんなアイテムを共存させるよう心がけています。それらを組み合わせるスキルや小物づかいは、アルフレックスのショールームで教えてもらいました。あとは古いアイテムはもちろん、新品でも、次第にひび割れたり色が変わっていったりと、使うにつれ経年変化していくものが好きですね。いつまでも新しい発見をもたらしてくれる質感のものを取り入れています」

昨年ポーラ美術館を訪れた時の様子。アートと自然に囲まれ、豊かな時間を過ごした。
※薫森さん提供写真

14:00

カメラを持って、
自然を感じられるスポットへ。

普段から写真を撮ることが趣味の薫森さん。この日も近所を歩きながら、目に留まった自然の様子をカメラに収めていった。毎日の通勤時にも常にカメラを携え、ささやかながらも美しい光景を目にすると、シャッターを押すのが癖になっている。

「今日は空が澄んでいるなとか、お花が可愛いな、葉っぱの緑色が綺麗だな、など、日常のちょっとした瞬間を切り取るのが好きなんです。後で見返せるのも嬉しくて。写真を撮るために、もののバランスをみたり、身の回りの美しいものに気付いたりする姿勢は、自然と美的感覚を育む助けにもなっていますね」

そして写真と同様に感覚をアップデートする手段のひとつになっているのが、アート鑑賞。お気に入りの美術館や気になった展覧会には欠かさず足を運び、作品や空間をじっくり観察する。

「箱根にあるポーラ美術館が好きで、よく行きます。昨年開催されていた現代美術家ロニ・ホーンの展示や、部屋にまつわるユニークな表現を集めた展示『部屋のみる夢』もすごく素敵でした。

あと昨年行って衝撃的だったのは、国立新美術館の李禹煥(リ・ウファン)の展示。1つひとつはただの石にも関わらず、並べ方によってアートになる。想像を掻き立てられる作品ばかりでした。気持ちが高揚するのはもちろんですが、少しでも仕事に生かすことができるヒントを得たくて、いろんな視点、角度から作品や空間を眺めて美術館を楽しんでいます」

20:00

アートブックを開いたり、
香りを楽しんだり。

街に出たり自然やアートに触れたりして、刺激的な時間を過ごした日中からは一転、夜は、空間の明かりを落として、1人で静かにリラックスした時間を過ごすのが薫森さん流。そのお供になるのが、アートブックだ。

「日頃から美術館の図録や写真集、好きなデザイナーやアーティストの作品集、インテリアカタログなどを買い集めていて、夜になるとソファに座ってパラパラとめくっています。小説などの文章を主体とするものよりも、想像する余白が多い視覚から情報を得る方が心地よくて、ぼーっと考え事をしながら眺めていますね」

そしてもう1つ、自らを癒すのに欠かせないのが香り。お香やルームスプレーなど、豊かな香りを演出するアイテムを10数種類持ち、気分やシチュエーションに合わせて楽しんでいる。

「朝はウッディな香りで爽やかな空気に浸ったり、入浴中は少し甘めの香りを焚いたりと、使い分けていますね。中でも夜ベッドに入る前は、少しバニラっぽい甘めの香りを取り入れるのが好き。香りがきっかけとなって、心身にリラックスのスイッチが入るんです」

絶えず、自分の世界を
広げ続けるために。

「今後やってみたいことの1つは、2拠点生活です」と薫森さん。
長らく東京で活躍を続けてきたなかで、仕事を続けながらも新しい感覚を取り入れるべく、思いついた1つの目標なのだそう。

「今は東京の中や限られた旅先の中で新しい刺激を探しているけれど、暮らすエリアを広げて、行動範囲を一気に広げてみるのも手なのかもしれないなと。新しい景色と出会ったり、別の仕事に携わる人と話をしたり、多様な価値観に触れたり。五感をフル活用しながら、新しい“何か”を感じる感覚をいつまでも忘れたくないんです」

自ら足を運び、自分の目で見て、体験することを大事にしている薫森さん。感覚をアップデートし、絶えず見渡すことができる世界を広げ続ける背景には、年齢を重ねキャリアを積み重ねるごとに強く感じるようになったある思いがある。

「ある程度キャリアを積み重ねると、人は安定を求めて自分の見える範囲の世界に閉じこもりがちですよね。僕自身もそうだったのですが、年齢を経るごとに、ふと時間は限られているんだなとも感じるようにもなって。世の中には知らないことだらけなのに、それを知らずに偏ったままでいてはもったいないなと。ありきたりなようですが、休みの日こそチャレンジを続けて、いつまでも自分を成長させていきたいですね」

薫森さん愛用のアイテム

Profile
薫森正義

しげもり・まさよし/1976年滋賀県生まれ。大阪ベルェベル美容専門学校を卒業したのち、東京都内の美容室を経て、現在は表参道〈Hair salon Rougy〉のディレクター/店長としてサロンワークの他、雑誌や広告スタイリングなどを担当し、幅広く活躍している。

Instagram:@magemori

photoMasanori Kaneshita
edit & textEmi Fukushima

WEEKEND
ELEMENTO
NOSTOS
a short story with arflex
30 People 30 Weekends