アルフレックスジャパンは、イタリアのアルフレックス社で家具作りを学んだ保科正が、
日本での販売権とオリジナルデザインの製造権を持って帰国し、1969年に設立しました。
イタリアで生まれ日本で育ったアルフレックスジャパンのブランドストーリーを、時代を映す製品の数々とともにご覧ください。
1945年の終戦からわずか6年、イタリアの世界的タイヤメーカー ピレリー社の有志と当時無名のデザイナーマルコ・ザヌーゾにより、誕生したチェア「LADY」が、美術工芸展「トリエンナーレ」で金賞を受賞。当時一般的な家具が木を中心に藁やパンヤ、馬毛などで作られていた中、人工素材である成型ゴムとエラスティック(伸縮性のある)ゴムベルトの家具への転用を試みたこの革新的な出来事が、アルフレックスの第一歩となりました。
アルフレックス製品化モデル第一号。自由な形状を描くソファは当時の家具業界に衝撃を与えた。
「不朽の肘掛け椅子」と評されたフランコ ・アルビーニのデザインによるパーソナルソファ。当時フォームラバー(合成ゴム)の可能性を十二分に示した。
「マルティンガーラ」とはイタリア語で「外套の背部のベルト」の意。このベルトはカバーリングの取り外し部分でもあった。
高度成長期只中にあった日本。「これからの日本の生活には服飾ではない、何かが必要である――。」アルフレックスジャパンの創設者 保科 正は何かに駆られるように単身渡伊。ミラノの街で見た家具のショーウィンドウに日本のモダン・ライフの将来を重ね、そのままアルフレックスイタリアの門を叩いたのです。その後家具作りのノウハウとイタリアのライフスタイルの合理性、そして日々の暮らしを大切にする生き方から真の豊かさを学び、日本の新しい時代に胸を膨らませてイタリアを後にしました。
チェアを作るには4つのラインまたはカーブがあれば十分である、というマルコ・ザヌーゾの哲学的な思想を体言したモデル。1964年にトリエンナーレで金賞を受賞し、ドムス誌の表紙を大きく飾った。
木をフレームにクッション部とマッチさせるという、ザヌーゾの大きな試みが見られる北欧的、現代的なデザインである。
当時のデザインチームB.B.P.R.による、オフィス商業スペースのためにデザインされた。公共スペース用のイタイアデザイン家具としては最も初期のもの。
帰国後、保科正はアルフレックスジャパンを設立。イタリアからの輸入とともに、日本の文化や環境に合わせた国産化やオリジナル製品の開発に取り組みます。当時高度成長期にありながら「ウサギ小屋」と揶揄された日本の住まい。「住」だけが時代の変化に取り残される中、日本のタンスや卓袱台から発展した家具ではなく、合理的で快適に暮らすためのソファやチェアというイタリアの合理性から学んだ、いわば生粋の「モダン・ライフ」を提言していきました。
設立当初の代表的モデル。 日本で初めての大型モールドウレタンによるソファ。当初多くのモダンなリビングルームに選ばれた。
ティト・アニョリデザインのモデル9は、4種のユニットで内側にも外側にも展開ができる斬新なデザイン。モールドウレタンでの製造を試み大きなヒットとなる。
チニ・ボエリ デザインによる「ボボ」は、内部に全くフレームをもたず、スプリングもネジも使わないソファ。日本での製造方法の検討に苦労するが象徴的なファブリックで話題に。
アルフレックスが当時行った一番の改革は「リビングルーム」にソファを置いたこと。今ではごく当たり前ですが、当時は多くの家庭でソファが「応接間」に鎮座していたもの。「応接間」から家族が過ごす「リビングルーム」に。ソファの役割を家族の中心において、日本のモダンライフ スタイルがスタートしたのです。
シンプルを極めるデザインから日本のモダンライフに選ばれ続けるロングセラーモデル。日本で開発されたカバーリングシステムはイタリアに逆輸出された。
イタリア語で「理想郷」と名づけられたラグジュアリーモデル。日本の住宅事情に配慮し、ベース裏のノブにより解体組立てが簡便に行える機構を日本で独自開発した。
キルティング素材で作られるカバーが、ファスナーで着脱できるユニークなソファ。女性デザイナーチニ・ボエリならではの機能性と遊び心が生かされている。1979年 コンパッソドーロ賞受賞。
デザインをテーマに作られた話題の「AXISビル」に移転。店内デザインはチニ・ボエリによるユニークな空間構成。そして1986年には、日本のライフスタイル研究の証として現在にいたるロングセラー 「A・SOFA」が誕生。柔らかめの座り心地、シンプルな内装にマッチするデザイン。そして今もアルフレックスの根底に息づく「長く快適に使う」ための仕組みと構造を実現しました。
堅牢なフレームに羽毛を用いた柔らかいクッションをたくさん置く。シンプルな発想と優しい座り心地、ワイドなサイズ感は大ヒット。それぞれの年代のファブリックをまとい、今もなお愛され続けている。
木と革だけで構成され、しかも革テープの編み込みだけに座るという新たな発想にトライアルした川上元美デザインによるチェア。2009年グッドデザイン賞、ロングライフデザイン賞受賞。
「本体は頑強に、クッションはルーズに」がコンセプトのネオ クッシーニ。モールディング、10年間保証、カバーリングなどそれまでの技術を結集して作られた。
アルフレックスの象徴ともいえる「カーサミア河口湖」を山梨県鳴沢村に開設。森の中の大型ショールームや3棟のモデルハウスを通して、家具単体ではなく空間全体、住まい全体に提案の幅を広げます。同時にソファ中心だった商品レンジもダイニングルーム、ベッドルームに拡充。住まい全体を提案する準備が同時に進められていました。
80年代はダイニングルーム、ベッドルームアイテムが加わり、提案の幅が広がった時代。FKチェアはシェル部分とフレームだけで構成されながらもフィット感のある快適な座り心地。
FKチェア同様にダイニングルームへの拡充のために開発されたKOチェア。レジデンシャルターゲットのFKに対し、バブル景気に沸く商業空間を視野にいれて開発された。
「本体は頑強に、クッションはルーズに」がコンセプトのネオ アルフレックスが考えるベッドルームをテーマに、「ルナ・パーク」と名づけた、インテリア性に優れ、遊び心のあるベッド&ベディングコレクションを提案した。
当時、チェアやベッド、収納などの木製品の面材や仕上げがそれぞれのカテゴリーで考えられていた中、アルフレックスではそれを統合。これによりインテリアの統一感を手軽に演出できるようになりました。これは住まいの中で進むLD(リビング・ダイニング)化を先読みした提案であり、コーディネートはインテリア選びの醍醐味として一般にも浸透していく契機ともなりました。
住まい全体ヘ商品レンジを広げながら、各部屋の壁面を飾り機能性を発揮する収納シリーズは、当時のアルフレックスの世界観をつくるのに威力を発揮した。
90年代もまた一層ダイニングアイテムが充実した。KUチェアはそれまでのアルフレックスにない「色気」をまとったチェアとして人気を博した。
船底型の天板、絶妙な脚部のふくらみ。タボロ・ナーベはこの先のダイニングテーブル №1の座を長くキープすることになる。
陽の光が差し込み広くなった店内では、家具単体ではなく、リビングやダイニングを想定した空間全体のディスプレイを展開。モノではなく豊かな生活を提案するという想いが東京でも実現。ライフスタイルショップとして一歩前進します。
フレームに水牛革の編み込みを用いたホリデイズシリーズは開放感のあるスタイルが発売直後から多くの支持をいただく。
NTチェアのシンプルな思想をベースに、よりモダンに温かみのあるチェアTINAが生まれた。思想がシンンプルなモデルは時代に呼応しながら変化するしなやかさがあることを証明した。
ベースはスクエアでシンプル、多彩なクッションは体を優しく包み込む。クアドラはA・SOFAの同じ発想を異なるアプローチで形にしたソファとして実現した。
オットマンを置くのではなく、足を伸ばして座れるシェーズロングとよばれるソファが、よりリラックスできるスタイルとして新たな地位を確立。大型のテレビやホームシアターの普及ともあいまって、家族みんなで囲む大型のリビングスタイルに。リラックスタイプのソファは一時代を築いたと言えるでしょう。
シェーズロング型ソファの原型を作ったカスカタソファ。伸びやかなフラットシートや水牛革で編みこんだフレームが開放感を演出した。
座りにくいコーナー部分に丸みをつけ、自由な角度で座れるベストポジションにするという新たな発想のソファ。大型のシートは、ソファの上での過ごし方の可能性を広げた。
より快適な眠りのために、 「SLEEP」と題しベッドとベディングを再構築。居住性を考慮したヴァクナベッドなどともにオリジナルマットレスなど機能に優れたアクセサリーも充実。
インテリアへの意識の高まりと成熟のなか、より個を求める時代にあって、シンプルでありながらもプロポーションやディテールに個性的なエッセンスを加えたモデルが登場。定型からフリーに、トータルからセレクトへ。時代の変化が新しい製品を生み出します。
木目を意匠的に用い、量感のある脚部がダイニングシーンをスタイリッシュに演出したレクタ。シンチェアとの組み合わせは一時代を築いた。
高さがテーブルと同じことで一体感のあるダイニングシーンを生み出すチェア。強度を保ちながら軽快なフレームワークで軽量化に成功している。
重心の低いデザインのウノディノイ。広い座面がソファの居住性を高めるとともに、高さを抑えたプロポーションは360度からアクセスしやすさを提案した。
家で過ごす時間がより重要視される時代。それと同時にモノの選択は、価格やブランドという要素ではなく、自身の価値観でとらえるように変化しています。そしてアルフレックスでは、年々増えるメンテナンス件数の増加に「どう使い続けられるか」がモノづくりの大きな基準となり、一層将来のメンテナンスに考慮した製品が多く誕生しています。
軽快なフレームワークとシート部にはカバーリングを採用したリンチェア。カバーの着脱は非常に簡便で、かつずれにくい。チェアに新たな可能性を持ち込んだ。
最高級のフェザーを使い、限りなく贅沢な座り心地を追求したガーレ。「世界一の座り心地のソファ」の追求から生まれた。自然素材の復元力を引き出すメンテナンス方法の検証モデルともなった。
デザイン、サイズ、機能性、プライス。すべてのバランスがとれたスマートで軽快なソファ。新たなお客様に、新しい場所に選んでいただけるアイテムとなった。
時代の移りかわりとともにリビングで過ごすスタイルも変化。デジタルディバイスの普及は、リビングがそれまでのテレビを中心としたスタイルから、個々の快適な居場所となる形に変化しつつあります。自由に伸張する展開型のソファは、集いながらも個々の快適な空間を確保。こうしたソファが私たちの過ごし方をも変えていきます。
4つの変形ユニットで作られる新たなレイアウトから、これまでにないコミュニケーションや関係性を追求したユニークなソファ。このあとに続く拡張型リビングの検証ともなった。
ペニンシュラと呼ばれる背やアームのないユニットにより、周囲と双方向につながる新たな過ごし方や、セカンダリーリビングのあり方を提唱。
アームのない単純化されたユニットによるフリースタイルソファ。方向性のないオープンなレイアウトで、ソファが空間と空間をつなぐ役割にもなることを提案した。
リモートワークの推進や働き方の多様化に伴い、インテリアの考え方も大きく変化しています。パブリックとプライベートの境界は緩やかになり、住まいのようにリラックス感のあるオフィスや、開放的なコミュニケーションを叶えるラウンジ空間の需要も増加しました。創業以来変わらないものづくりの思想と、時代に応じた柔軟な発想で、次なる50年へと歩みを進めてまいります。
ストレートでもL字でもない角度をつくるアングルユニットにより、躍動感のあるリビング空間を演出。高層マンションの変形間取りにもレイアウトしやすい。
軽量で移動がしやすく、自宅のダイニングやデスク、またパブリック空間でも汎用性の高いモデル。大きな背のカーブは長時間座っても疲れにくいよう配慮したデザイン。
精緻なアルミダイキャストの脚部と、重厚感のある大理石天板の素材感がトレンドにフィット。大型のリビングでは複数台を重ねたコーディネートも楽しめる。