#02真の豊かさの模索

「カーサミア河口湖」で提案する住宅は、真に高品位であることを目指し、時代に左右されず普遍的で、経年変化によって味わいを増す。
だから過度なデザインはなく、建材や仕上げにも真にいいものを選りすぐり、佇まいに重厚感を求めた。
外壁はRC構造に断熱材をあわせた相当な壁厚で、開口部にはシャッター付き・ペアガラスのイタリア製サッシにこだわった。
合理的なライフスタイルの1つの形として靴のまま過ごすスタイル を取り入れ玄関周りの環境を整備し、それまであまり住まいの中で 快適な位置になかったキッチンの居住性や食を中心としたコミュニケーションを重視した。
残念ながらこの住宅供給のビジネスはバブルの崩壊で解消せざるを得なかったが、その後もアルフレックスの理念が貫かれた「カーサミア河口湖」は、訪れる人に時代が経過しても色あせない豊かな暮らしの形を伝え、現在もアルフレックスの目指す空間の礎となっている。

敷地内の高低差は10m以上。
ただし生い茂る木々で、全体のアンジュレーションは全く分からない。
富士山のふもと故、表土が比較的浅いこともあり、黒松を残し立ち枯れしやすい赤松は切ることになった。
全体の起伏がわかったところで、研究所は全体を見守る位置に置き、モデルハウスはそれぞれの平面プランが生きるベストポジションがクリアになった。
中央には当時は誰もが気軽に楽しめるテニスコートを配置。
敷地内に残した木々を見極めながら、建物に表情を添える白樺や山ぼうしなどを植樹し、低木は比較的気候の近い小諸の植物園から様々な植物を調達し配した。

▲1986~1987年工事中のカーサミア河口湖

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