interview

多忙な都会生活のスイッチを
オフにするパートナー

2020年3月、ハイエンドなアウトドア製品など
で知られる
株式会社スノーピークの
代表取締役社長に32歳の若さで就任した、
山井梨沙さん。
本社のある新潟と東京の2拠点を
行き来してきましたが、この1年半は
ほぼ東京にいらっしゃるそう。
そんな彼女が愛犬の“助六”と“まる子”とともに
寛ぐ場所がリビングルームの「マレンコ」と
伺い、
ご自宅にお邪魔してきました。(

3年ほど前に、東京オフィス「Tokyo HQ3」まで徒歩で通える場所にある古いマンションに引っ越したことをきっかけに、マレンコユーザーとなられたという山井さん。「新潟の実家でも、マレンコではないのですが、アルフレックスのソファを使っていたんです。それもあって、広い家に引っ越したらソファはマレンコにしたいと以前から思っていて。それで、引っ越しのタイミングに、今だ!と思って購入しました」。最初に購入してくださったのは3人掛けの部分で、後からオットマンを追加。カバーは「一番シンプルで、周りの家具や家の雰囲気とも合っている」という理由から、スタンプ有り麻カバーをセレクトされたそうです。

「実際に使ってみると、座面が低いのがよくて。あまりかっちりと椅子に腰掛けて過ごすのは好きじゃないので、すごくリラックスできるんです。横になった時に、凹みの部分がうまくフィットして、抱かれているような感じがするのも好きです」と話す山井さん。ちなみに、助六とまる子もマレンコが大好きだそう。「横になったりじゃれ合ったりするので、カバーがすぐ汚れてしまうのですが、外して洗えるのがいいんですよね」と話してくださいました。

自分らしい空間に
心地よく馴染む、
独特の存在感

山井さんの愛用品には、歴史を重ねた建物にしっくりと馴染むものが多い。飾り棚の上には、パリの蚤の市で買ったアフリカの貨幣や彫像をはじめとした、旅先で手に入れた古道具や手工芸品などが並べられています。家具もまた然り。実は、新品の大型家具を買うのはマレンコが初めてだったそうです。「マレンコってデザインは特徴的なのに、古いものを中心としたインテリアの雰囲気を壊さないんです。1950年代くらいの中東のラグや、日本の古道具ともうまく馴染んでくれているのが嬉しいですね」と山井さん。確かに、ソファだけが浮くことなく、味わい深い空間の中に溶け込んでいます。

修理して長く使う、
ものづくりの姿勢に共感

「私が無意識のうちに選ぶものには、次世代に引き継ぐことができるものが多い。マレンコもメンテナンスして使い続けられるのが魅力です」という山井さんですが、それはスノーピークの道具も同じ。何度でも修理に対応する「永久保証」制度は、アウトドア愛好家の中でも有名な話です。「うちのベストセラーに1996年に発売された『焚火台』というのがあるのですが、先日初めて、金属疲労で穴が空いたので修理してほしいという依頼があって、それが嬉しくて」。そんな山井さんは、ご自宅でも自社製品を愛用。ボックスとしても使え、広げたり重ねたりもできる「シェルフコンテナ」には、キャンプでも街でも活躍するアイテムが並べられています。

自然に囲まれた新潟での暮らしは、オンもオフもリラックスしたもの。一方で、東京ではデザイン性に高いものに囲まれて快適に暮らせるし、いろんな人にも会える。インプットが多いのが魅力だという山井さん。「豊かさのベクトルが違うんですよね。でも、今の私には両方をバランスよく保つことが必要。東京での日中は忙しいことが多いので、家ではいかにスイッチをオフにできるかが重要なんです」。もしかしたらマレンコは、そんな彼女を柔らかく受け止める、セーフティネットのような存在なのかもしれません。

取材・文/山下紫陽
撮影/橋本裕貴

山井梨沙

山井梨沙/やまいりさ
株式会社スノーピーク
代表取締役社長

1987年新潟県生まれ。祖父は同社創業者の山井幸雄氏、父は代表取締役会長の山井太氏。文化ファッション大学院大学卒業後、ドメスティックブランドに約1年勤務。2012年スノーピークに入社、アパレル事業を立ち上げる。アパレル事業本部長、企画開発本部長、代表取締役副社長を経て、2020年3月より現職。