見ているだけで気持ちが和む、
温かみのあるフォルム。
ぎゅっと詰まった感触に、
安心感のある座り心地。
今やアルフレックスの
アイコン的存在となったこのソファは、
いかにして生まれ、50年を超える
ロングセラーとなったのか。
マレンコの誕生とものづくりにまつわる
エピソードをご紹介します。
生みの親であるイタリア人デザイナー マリオ・マレンコは、
本職の傍ら俳優やTVタレントとしても活躍していたマルチな才能の持ち主。
マレンコのデザインは、彼が同僚と話しながら一瞬で描いたスケッチから生まれたと言われています。また、そのユーモラスなフォルムをいっそう際立たせるのがロゴスタンプ入りの麻カバー。最初にイタリアで生まれたマレンコでは、これはカバー下のソファ本体に張られていた生地(ヌード地)だったのです。
それを日本で発売したところ、工業製品のような武骨さがカッコいいとヌード地のままで使う人が続出。好評を受けて後に正式なカバーとして製品化し、今ではご注文いただく多くの方が選ぶ代名詞的存在となりました。
1971年にマレンコを発売する際、アルフレックスジャパンではイタリア生まれのデザインはそのままに、より高品質で長く安心してお使いいただけるものづくりを追求するため全ての製造工程を見直しました。
例えば日本のコンパクトな住宅にも納品しやすいよう、個別に搬入したシートを室内で連結するジョイントシステムを採用。また、シート内部は堅牢なモールドウレタンを柔らかなウレタンが包む構造とし、イタリア本国モデルを超える丈夫さと快適さの両立を目指しました。
もうひとつ、マレンコを日本で発売するうえで譲れなかったのは、張り替えやパーツ交換などのメンテナンスがしやすい仕様に改良することでした。
当初のモデルから改良を加えた箇所はなんと100箇所以上。発売から半世紀以上が経った今もなお、進化し続けています。背、シート、アームを別々に作って組み上げる製法により、傷んだシートの表層だけを交換する、といった細やかな修理ができるため、親から子へと何十年もご愛用いただくお客様が数多くおられます。
当初イタリアではカバー交換のできない仕様だったマレンコ。
綺麗好きな日本人ならではの発想で、アルフレックスジャパンがカバーリング仕様を開発しました。カバーを替えることで本体の痛みが軽減するうえ、手軽なイメージチェンジも楽しめる。「自宅でカバー交換ができる」という当時世界にも類を見なかった革新的な技術は、イタリアでも称賛され、のちに導入されることに。
今も替えカバーをお求めいただく数十年来のお客様の存在が、マレンコが時代を越えて支持されるソファとなったことを証明してくださっています。
コンクリート打ちっぱなしのようなクールな空間にも似合う、オブジェのような佇まい。
優しいフォルムや素朴な麻の質感は無垢材の床やアンティークの家具とも好相性。張り地を替えればポップにもなり、座布団を思わせる低めの座面は和室にもしっくりと馴染みます。その唯一無二の存在感は多くの建築家やデザイナーに選ばれ、様々な住宅や公共施設に納品されました。
使う人の個性や空間に合わせて表情を変えるマレンコの懐の深さは、50年以上愛され続ける大きな理由のひとつです。