2拠点で
暮らしながら、
子どもたちの
成長を見守る1日

〈Swimsuit Department〉代表
郷古隆洋さん

arflexが提案する「Weekend」とは、
毎日を週末のような開放感と幸福感で満たす、
心地よい住まいの在り方。
心がすっと軽やかになり、
自由な時間を謳歌できるWeekend。
充実した日々を送る人は、
オフの過ごし方にこそ“その人らしさ”が
詰まっているのではないだろうか。

大切な家族や仲間たちとの団らんを楽しんだり、
どこか遠くを旅したり、あるいは自分が
夢中になっている趣味に没頭したり。
この企画では、思い思いに心豊かなWeekendを
過ごす方々の、ある1日を覗いてみる。

ヴィンテージやアンティーク雑貨を扱うショップ
〈Swimsuit Department〉を手がける
郷古隆洋さんは、東京と福岡の2拠点で生活中。
行き来する中でたどり着いたのは、
豊かな自然と“もの”に囲まれながら子どもたちの
成長を見守る、かけがえのない週末だった。

2拠点生活で知った、
「帰省する場所」がある安心感。

「生まれも育ちも東京で、これまでは帰省するという感覚が分からなかったんです。太宰府に拠点を構えたことで、帰ってくるとホッと心が休まる“帰省する場所”が出来て、それがすごく嬉しいんですよね」

ユナイテッドアローズ、ランドスケーププロダクツでの勤務を経て、2010年に〈Swimsuit Department〉を立ち上げた郷古隆洋さんが、福岡県太宰府市を居住地として選んだのは2017年。東京にもご自身が運営する店を構えていることから、東京の住まいをそのまま残し、2拠点生活をスタートさせることになった。

「結婚して子どもが生まれたことを機に太宰府に拠点を移し、2020年には、ヴィンテージ雑貨を扱う〈BATHHOUSE DAZAIFU〉というショップをオープンさせました。今では東京はオン、福岡はオフの場所という感じで、メリハリがついています」と語る郷古さん。

現在は1ヶ月のうち1週間を東京で過ごし、残りの3週間を太宰府で過ごすような生活をしている。といっても福岡ではまったく仕事をしないというわけではなく、子どもを第一に考えて日々過ごすようにしているのだそう。

中でも、家での家族との時間はもっとも大切な時間。雑貨や器、家具のほか、子どもたちのおもちゃにいたるまで、これまでご夫婦で収集したヴィンテージアイテムがちらほら。そんな郷古家のWeekendをご紹介。

10:00

家族でおしゃべりしながら、
川までの遊歩道散歩。

近所の遊歩道を家族と散歩するのが休日の楽しみのひとつ。最初の目的地の川に到着するまでの遊歩道に水路が整備されているので、ついつい生物を探しながら、みんなで下を向いて歩いてしまうのだとか。

「子どもたちと、カニがいた! こっちには魚がいる! なんていいながらいつも歩いているんです。暑い日なんかは川に足をつけて遊んだりしていますよ」

取材当日は川のほとりに梅が咲いていた。そんなささやかな季節の変化に気づく心のゆとりができるのも、太宰府で時間を過ごすことの醍醐味なのだとか。

遊んだ後は、そのまま家族でランチを食べに行くという流れがとにかく“最高”だという郷古さん。郷古さんが太宰府に来て感じたことが、食の街・福岡の中でも、特にうどんがおいしいということ。

「福岡に来る前は、福岡のおいしいグルメといえばラーメンやもつ鍋というイメージだったんですが、何よりもうどんのおいしさに衝撃を受けました。川で遊んだ後は、そこから少し太宰府天満宮方面に向かって歩いたところのうどん店〈さいふうどん〉によく行っています。石臼挽きの小麦粉を用いたうどん麺と、出汁がおいしいんですよ」

うどんなら小さな子どもたちがいる郷古家でもみんなお腹いっぱい食べられるところも嬉しい。その近くには、太宰府の銘菓「梅ヶ枝餅」を販売している店が多く、ランチ後に立ち寄ることも。梅ヶ枝餅は長男の光人くんの大好物なのだとか。

15:00

郷古さんと奥様が営むお店で、
子どもたちもお手伝い。

太宰府天満宮の参道からほど近い場所に2020年に奥様と一緒にオープンした〈ALBICOCCA〉。奥様が運営している〈VELVET THE SHOWROOM〉と〈Monica Castiglioni fukuoka〉、そして〈BATHHOUSE DAZAIFU〉が入居している複合施設だ。ランチの後には、家族でお店に立ち寄ることもしばしば。

「子どもたちには勉強は出来なくてもいいから手先だけは器用になってほしいと思っているんです。というのも、私の父親がとにかく何でも自分でつくる人だったんです。だから僕自身もそんな父親を間近で見ながら育ったおかげで、手先だけは器用。その器用さが人生においてとても役に立っているので、お店のちょっとした作業もなるべく子どもたちに手伝ってもらうようにしています。レジを手伝ってくれたりもしますよ」と郷古さん。

営業中はもちろん、お店がお休みの日や閉店した後に、ちょっとしたペンキの塗り替えなどを長男の光人くんと行うことも。光人くん自身もその作業をすごく楽しみにしている。

家もそうだがお店のものを壊されたりすることがないのかを伺ったところ、子どものころからそこに在るのが当たり前だから、落としたり、壊したりすることがまったくないのだそう。妹の凛ちゃんがペンキ塗りの戦力に加わることも、そう遠い未来じゃなさそうだ。

17:00

ソファに座り、
絵本を読んだりテレビを見たり。

ヴィンテージ雑貨や個性的なインテリアアイテムが並ぶ部屋の中でも、一際目をひくのが鮮やかなコバルトブルーのソファ。実はこちらのソファ、イタリアのarflexで1951年に発表されたもので日本では未発売。今となってはスタッフでさえもなかなかお目にかかることの出来ない、〈マルコ・ザヌーソ〉による名作ソファ「トリエンナーレ」なのだ。

機能美を備えた洗練されたデザインは部屋に馴染みやすいだけではなく、とにかく座り心地がいいことから、家族の団らんスポットになっている。郷古さんと子どもたち2人がこのソファにギュッと座って、テレビを見たり絵本を見たりして過ごすのが至福の時間なのだそう。

「このソファは独身時代から使っているもので、ヴィンテージ家具を取り扱うショップを営んでいる友人から“入荷したんだけどどう?”という連絡を受け、購入したものです。背もたれ部分が高いハイバックソファなので、背中や頭を支えてくれる感じでとても座り心地がいいんです」

ヴィンテージ雑貨を収集している郷古さんだが、家具も同様、その当時ならではのつくりのよさや、時間の経過による表情の豊かさに惹かれるのだという。このソファもさらに使い込んでいくことによって、子どもがつけた傷や日焼けによる退色など、このソファにしかない魅力が日に日に加わっていっている。

家族と過ごす時間が、
仕事への原動力に。

何よりも家族との時間を大切にしながら過ごしている郷古さん。特に、休日にゆっくりと家族と過ごす時間が、仕事への原動力になっている。

「子どもが1人だったころは月の半分は東京に行っていました。2人目が生まれてからは妻にばかり負担をかけていられないと、東京に行く日数を減らしたのですが、特に子どもが小さなうちは成長が本当に早い。1週間東京に行っていただけで、出来ることが増えていたりするんですよ。離れて過ごす時間が長いからこそ、福岡にいる間は一瞬一瞬を大切にしたいなと思っているんです。平日は、子どもたちが保育園に通っているので朝晩合わせても一緒に過ごせるのは4時間程度。1日中一緒に過ごせる休日の存在が本当に大切なんです」

その分、東京では打ち合わせや仕入れなど分刻みのスケジュールをこなしているという郷古さん。そんな東京のご自宅での癒しスポットとなっているのが、arflexの「マレンコ」だ。こちらも、ヴィンテージショップでファブリックを張り替えられたものを購入したのだそう。

「以前からマレンコがほしいと思っていたので、手に入った時は嬉しかったですね。もたれかかったり寝転んだり、フレキシブルに使えるのがこのソファのよさ。包み込まれているような感覚になれるのも好みです」

郷古さん愛用のアイテム

Profile
郷古隆洋

ごうこ・たかひろ/1972年東京都生まれ。ユナイテッドアローズやランドスケーププロダクツへの勤務を経て、2010年にヴィンテージやアンティーク雑貨を扱う〈Swimsuit Department〉を設立。世界各国で買い付けたヴィンテージ雑貨などを販売する〈BATHHOUSE〉を東京と名古屋、福岡で運営している。

Instagram:@swimsuit_department

photoKazuaki Koganemaru
textErika Terao
editEmi Fukushima

WEEKEND
ELEMENTO
NOSTOS
a short story with arflex
30 People 30 Weekends